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2021/10/27 20:52

日本画家 本間法子氏

彼女(と、彼女の作品)との出会いは、とても意外な場所でした。

陶芸家、小野澤弘一さんの器を、当オンラインショップ(ANTAN A' TOKYO/イケダヤマギャラリーキッチン)にてご紹介しておりますが、本間法子さんは、小野澤さんの奥様でいらっしゃいます。

※小野澤弘一さんの器作品は完売となりました。現在入荷未定です。


小野澤弘一さんの工房を訪ねた際に、彼のギャラリーに飾れている器作品とともに調和し、空間をやさしく温かいエネルギーで包んでいる存在が、彼女の日本画作品でした。



小野澤弘一さんの作品は、焼締めの地に漆や錫(すず)を重ねて焼成する技法が施されていて、地が薄く、モノトーンでシャープな印象があります。

ですが私は、彼の作品に「自然物」を感じていました。

自然の中に佇む静かな存在、というイメージで、同じく自然物である食材の色合いや、お料理と調和し引き立ててくれている、という印象です。


その作品たちと同じ空間に置かれている本間法子さんの日本画に、私はやはり、自然のエネルギーを強く感じました。


小野澤弘一さんの作品のモノトーンの風合いと、本間法子さんの作品のやわらかな色彩、

一見対照的でありながら、「自然物」として調和している。

どうしてそう感じるのか、とても不思議に思えました。


そして、小野澤弘一さんの取材を終えて帰宅してからもずっと、彼女の作品の印象が消えず、

直接お話しを伺ってみたいとお願いをし、再訪させていただくことになりました。


本間法子さんの作品との向き合い方

再度ギャラリーを訪ねると、ふんわりとした柔和な雰囲気をお持ちの本間法子さんが笑顔で出迎えてくださり、まず初めに画材の一部を並べて見せてくださいました。

『日本画の古典的な制作方法にこだわっているんです。』

とおっしゃる本間法子さんがお使いになっている色彩の素材はすべて、自然の鉱物や植物・生物由来のもの。

それらが本来持っている自然な色をそのままに、細かく砕き、膠(にかわ)でのばし、絵具として使うのだとか。それらに胡粉や箔を合わせてさまざまな画の表情を生み出すそうです。


彼女の作品では、「具体的なものの形」が描かれているものは割と少なく、

『何が描いてあるかわからないですよね?笑』とご本人。

どのような制作過程なのかを伺うと、

『モチーフはすべて、自然の中にある流動物です。具体的なものを描くというよりは、いろいろな場所で感じるその場所の自然のエネルギーを表現したくて。エネルギーを感じる場所に行ったら、まず、その場所に2時間でも3時間でも、居るんです。その環境に自分が溶け込むイメージができるまでじーーっと待つ。』


『そうして、自分の中にイメージやエネルギーをためてためて、さらにはっきりと表現のイメージができてから、それを色彩として紙に落としていきます。そのイメージが固まらないうちに描きだす見切り発車をすると、どうしても迷走してしまって、作品がまとまらないんです。』




そういったことを伺って初めて、彼女の作品から感じた自然のエネルギーの正体と、

小野澤弘一さんの器作品との不思議な調和の理由が、なるほどそうかと理解できた気がしました。


絵画を部屋に飾る、ということは、ちょっと特別なことかもしれませんが、彼女の作品のある日常は、とても豊かだと感じます。

ふと視界の中に入る色彩が、空間の雰囲気にまったく違う表情を生み出し、その場を温かく演出してくれます。


4作品のお取り扱いをさせていただいております。

以下のリンクよりご覧ください。

https://www.antan.tokyo/categories/3869435


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